ezorockでは、札幌市街地のシェアサイクル「ポロクル」の現場運営を行っています。今回は、2024年1月に発行された ニュースレターRock The Life! ezorock Vol.42 からポロクルをご紹介します。札幌のまちを颯爽と走る赤い自転車、シェアサイクル「ポロクル」。札幌で展開されている、レンタルサイクルシステムです。札幌に住んでいればこの赤い自転車を一度は見たことがあるのではないでしょうか。NPO法人ポロクルが提供している、このポロクルというシェアサイクルサービス。2011年に事業をスタートし、現在、都心部にある「ポート」といわれる専用駐輪場は約60か所。利用者は、ポートであれば、好きなポートで自転車を借り、好きなポートで自転車を返すことができます。2019年には、従来の白い自転車から、赤い電動アシスト車を採用したり、スマートフォンアプリを導入するなど、新たなシステムを導入しました。札幌で広まるシェアサイクルの仕組み通勤通学での利用はもちろん、観光でのまち巡りにも多く利用されるようになり、2023年には、利用会員登録件数60000件を超えています。回転数と呼ばれる、一台の自転車が一日に使われる回数の平均は4.2回、一日の平均利用回数は2079回(2023年度の実績)と、沢山の人に利用されています。また、自転車のバッテリー切れや故障がかなり少なく、同様に展開している事業者の中で、サービスの質の高さも評価されています。そんな札幌のまちを中心に大きな広がりを見せるポロクル。実はその現場運営を、約60人の学生を中心としたezorockのクルーたちが担っています。年間約200日。雨にも負けず、風にも負けず、札幌のまちで現場運営を行っています。今年度の営業は11月15日で無事に終了。来年度の営業に向けて準備を進めています。クルーと考える安全安心な札幌のまちポロクル開始当初、まだ全国的にも広がっていなかったシェアサイクルを実施するにあたり、「新しい移動の手段となりうるシェアサイクルを未来を担う若者たちとつくっていきたい」という運営主体である株式会社ドーコンからの声がけをいただき、協働に至ったポロクルの現場運営。ただ現場の運営をするだけでなく、現場で感じた自転車や道路空間の課題に対して、プロジェクトチームとして自転車の利用環境向上に向けてイベントを実施したり、行政や他団体が実施する自転車のルール・マナー啓発活動へ参加するなど様々なことに取り組んできました。【実施・参加イベント(一部)】・さっぽろホコテンを活用し、自転車の楽しみ方を提案したりルール・マナーについて伝える「TOWN PICNIC(SAPPOROLOVEBICYCLEDAYS)」の開催・自転車の修理、メンテナンス講座の開催・さっぽろ自転車押し歩きキャンペーンへの参加・「サイクルマナーアップキャンペーン」「道民の集い」等行政や他団体が実施する自転車のルール・マナー啓発活動における街頭啓発や自転車の模範走行現場を支えるクルーの仕事「ポロクルクルー」と一括りに言いがちですが、役割によって「クルー」と「ドライバー」、「クルーリーダー」という3つの役職に分かれています。「クルー」は自転車および駐輪場の管理や自転車の運搬。「ドライバー」はこのクルーの業務にプラスして、ポロクルを運搬するハイエースの運転も行います。「クルーリーダー」は、ポロクルのサポートセンターで、ポートの駐輪台数などの情報を管理し、それをもとにクルーに指示を出します。この3つの役割があることで、作業が円滑に、そして安全に進んでいきます。リーダーとクルーの連絡方法は、トランシーバー。クルーたちはトランシーバーを片手に、逐一連絡を取り合いながら作業をしています。リーダーを中心として使っているのは、専用のシステム。このシステムで各ポートの自転車台数を把握し調整を行っています。また、自転車の点検、修理もクルーの大事な仕事の一つです。パンクしていないか、反射板はついているかなど、一つ一つ点検を行い、利用者が安心安全にポロクルを使えるような整備も行っています。現場で動くクルーの声なかなかできない面白い経験リーダーは主に台数調整の行き先の決定や自転車の修理を行なっています。今の利用台数や普段の利用状況から、自転車が不足しそうなポート、溢れそうなポートかつ現場のクルーが向かいやすいポートを選んで台数調整に向かってもらいます。 ポロクルでは同時に100台以上の自転車が利用されることもあるので、多くの人が利用できるようにうまく調整できたときはうれしいです。自転車の修理について、多いときには1日5~6台の自転車を修理することもあります。これだけの数の自転車の修理を行う機会はなかなかないので面白い経験だと思います。(クルーリーダー 堀篤史さん/北海道大学大学院M1)社会貢献への実感がやりがいに街中を移動して回るので、家と学校の往復ばかりだった私には、街中の様子を知ることが出来てとても楽しかったです。自転車での移動は気持ちが良く、ルールやマナーについても知ることが出来て、経験値が増えたなと思います。ポロクルのポート周りのゴミを拾ったり、 商店街の美化活動にも参加したり、社会に貢献しているという実感があり、とてもやりがいを感じました。自転車の積み下ろしで適度に体が動かせるので、体力作りにも繋がっていたと思います。 また、学生がほとんどの職場で、繋がりが増えました。 活動的な方が多く、良い刺激を受けることも多かったです。(クルー 栁川果歩さん/北海学園大学1年)発見!こんな所にもクルーたちイベントやルールマナーの啓発活動のほかにも、クルーは様々な所で活動しています。こんなことまで!?と驚く方もいるのではないでしょうか。二番街商店街での植栽の管理商店街を彩りながら放置自転車の対策を、と置かれた二番街商店街の鉢植え。商店街の方々と協力しながら、この管理のお手伝いも行っています。商店街を鉢植えに水やりをしながら進み、帰りはごみを拾いながら戻ってきます。交通安全こども自転車北海道大会交通ルールなどの学科テストから、 自転車走行の実技テストまで。チーム競技を通して小学生たちが協力して「交通ルール」や「自転車操作」の技術を学ぶこの大会。 ポロクルクルーはこの大会の設営や当日補助も行っています。ポロクルの新しい取り組み札幌市が持続可能なまちづくりの一環として取り組んでいる水素エネルギーの利活用の促進。水素は、使用してもCO₂を排出しない次世代のエネルギーとして期待されています。現在、NPO法人ポロクルは、トヨタ自動車北海道株式会社と共同で、札幌市が目指す「水素社会」の実現に向け、 水素を動力源とするFC(燃料電池) アシスト自転車の開発に取り組んでいます。2024年は、「BICYCLE-E・ MOBILITY CITY EXPO 2024」等のイベントで試作機の展示を行いました。今後、公道での試験走行を実施し、 FCアシスト自転車の開発を進めていきます。<まとめ>様々な取り組みを通して、札幌のまちづくりと繋がるポロクル。そこで動くクルーたちはezorockの中では珍しい、アルバイトからボランティアという関わり方です。しかし、単なるアルバイトとしてポロクルの現場運営を行うのではなく、次世代を担う札幌の若者たちが、クルーとして自転車を通したまちづくりを考える。 そして、札幌のまちを安心安全に、そして笑顔で楽しめるまちに。クルーはこれからも、ポロクルを通したまちづくりに関わっていきます。